CREATORS' INTERVIEWクリエイターズインタビュー

第6回

「原語で聞く楽しみ。日本語とは違う感覚で楽しむ」

第5回に続き、今回も『ニューイヤー・ミュージカル・コンサート』でMCを務める溝渕俊介さんにミュージカル、俳優を目指すきっかけや、ミュージカルの楽しみ方を伺いました。

――ところで、そもそも溝渕さんはなぜミュージカル俳優を目指されたのですか。

そこ、行きますか(笑)。母が宝塚の大ファンなので、小さい頃から身近でした。小学校6年間はハワイで過ごしましたが、宝塚の専門誌やビデオが送られてきて、一緒に楽しんでいました。またハワイにブロードウェイミュージカルがツアーで回ってきた時も見に行きましたね。

しかし、まさか自分がショービジネスに入るとは思っていなくて。大学生の時、偶然ミュージカルのワークショップを受けることになり、自分にも演じられるんだ!とそこで初めて意識しました。その後、オーディションを受けて、大学4年の時に『ウエディング・シンガー』で初舞台を踏みました。

――それまで、歌や踊りのレッスンは積まれていましたか。

いや、全て大学に入ってから始めました。大学ではストリートダンスサークルに入ったんですけど、イケてる空気感が全く合わず(笑)、やっぱりミュージカルを志そうと思い、やめてしまいました。個人的にダンスや歌はスタジオのレッスンに通いました。

――では、大学を出て、そのまま俳優の道に?

いえ、一般企業に就職して、2年間サラリーマンとして勤めました。1年経って迷って、でも1年で辞めるのもなぁ…と思い、2年目に入って自分のいる環境のありがたみを噛み締めつつ、それでも未練が断ち切れずにエイッ!と舞台の世界に再び飛び込み、今に至ります。

――観劇しにブロードウェイへ行かれることは?

時折。異国で一人、好きなことだけをする贅沢!たまらないですね。向こうに行く時はできるだけ本数を見たいので、高いチケットは買いません。朝、TKTSや劇場に並びに行ってチケット買ったり…旅を計画するのが楽しいのと同じで、観劇プランを練るのは楽しいです。以前は現地で歌のレッスンを受けたり、演劇学校のサマースクールに通ったこともあります。

――このコンサートシリーズは初回から字幕がなくて、それはプロデューサーのこだわりから。観客が字幕に気をとられて、キャストの表情を見逃して欲しくないという気持ちがあったそうです。出演するキャストは歌っているだけでなく、役として1曲で思いの丈を演じて、瞬間に世界観を作り出せる人たち。流石にミュージカル全編だと話がわからなくなるけど、1曲数分なら、その表情で、怒っているのか、笑っているのか、泣いているのか、何を訴えたいのかを伝えることができる。役として演じられるミュージカル俳優の凄さ、そこを見逃して欲しくない、と。最初は歌詞がわからないというご意見もあったようですが、回を重ねるにつれてなくなったようで、今では他の来日ミュージカル・コンサートでも字幕がないのが主流になりました。

それは英断でしたね。お客さまが意味がわからないという気持ちもわかりますが、私も字幕があると自然と追ってしまい、視線が舞台から外れてしまいます。一方で、英語の意味がわからなくても、そのまま聞きたいという方も多いですよね。原語ならではの韻の踏み方、響きの楽しさがありますから。

――さて、2019年のコンサートですが、溝渕さんのおすすめポイントは?

過去公演より ©下坂敦俊

まず、アリス・リプリーですね。私、『ネクスト・トゥ・ノーマル』が大好きで、トニー賞のパフォーマンスに感動して、これは見なきゃ!と、その年にニューヨークに行き、アリスさんが主演した回を見ました。アリスが来ると知った時には、飛び上がって大喜びしました(笑)。

また、トニー・ヤズベックは『プリンス・オブ・ブロードウェイ』を見ました。今回は何を歌うのか、楽しみです。

ロベールはもはやレジェンドですね。あの年齢であの声量が出せるのは素晴らしい。一観客として驚きしかありません。『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンや『ノートルダム・ド・パリ』のフロロを長期間演じられていたから、体に染み付いているものがあるんでしょうね。それにしても、あれだけ豊かな声が出るのには敬服します。

アダム・カプランは2017年にこのコンサートで拝見してバランスの良い俳優だなぁと、再来日してくれて嬉しいです。

ダニエル・ウィリアムソンは『ウィキッド』のエルファバ役、『メンフィス』のフェリシア役と、パンチの効いた歌声の持ち主でないとできない役を演られているので、生歌を聞くのが楽しみです。

――最後に、2019年はどんな年にしたいですか。

毎年そうですが、個人的には少しでもステップアップすることを目指したいです。そしてより多くの方々がミュージカルを愛して下さる一年になることを願います!

聞き手:演劇ライター 三浦真紀