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2016.12.30 UP

演劇ライター・三浦真紀さんの特別コラム ≪その2≫

「誰もが知る名曲を惜しげもなく歌ってもらおう!」の巻

 

さて、コンサートでどの曲が歌われるのか。いわゆるセットリストはコンサートの柱であり、作り手が最も頭を悩ませるテーマだ。

『ニューイヤーコンサート』は新年を祝う祭典なのだから、まずミュージカルの枠を越えて世に広まった、誰もが知る名曲を惜しげもなくドンドン並べて歌ってもらおう!というのがコンセプトとなった。
ロジャース&ハマースタイン、コール・ポーター、ガーシュウィン、バーンスタインなど、日本のCMやBGMでも未だにしょっちゅう流れるメロディばかり。
老若男女問わず、ミュージカルを観たことがない方でも十分楽しめるし、ミュージカルファンにとったら王道のナンバー尽くしで幸せ〜!とはこのこと。

通常、来日キャストによるミュージカルコンサートは既にパッケージができあがっていて、他の国でやっているセットリストに若干手を入れるケースが多い。
もしくは、キャストの持ち歌を組み合わせて、セットリストを作るか。
ところが東急シアターオーブが企画するコンサートは、演出家と音楽監督、プロデューサーがああでもない、こうでもないと議論を重ね、試行錯誤して作られている。
大勢の人が聴き、一回決めたものでも何度も入れ替えて精査したり。もちろん、持ち歌や経験のある曲も踏まえているが、流れとしてこの曲を入れたい、この曲を聴いてほしい、コラボレーションで楽しませたいというクリエイティブの強い思いがある。
このあたり、キャストにとって初挑戦となる曲もあり、提案して快諾されることもあれば、やりとりを重ねて意外な曲に落ち着くこともある。

楽譜と演出プランは事前に送り、キャストは各自で練習し、イメージをしてくる。
来日してからの稽古は3〜4日間。有名曲は間違えるとすぐバレてしまうリスクが大きく、初対面でハーモニーを作るのも簡単なことではない。
第一、主役級のキャストは普段、ハーモニーをとる必要がないので、慣れていなくてもおかしくないのだ。
しかし前回は稽古初日からビシッと重唱が決まったというから、その意気込みたるや!どれだけ練習を積み重ねてきているのか。

東京の大劇場で歌を披露する。
自分の歌に高い誇りとチャレンジ精神を持って。そんなエンタメ界の最前線で生きるキャストたちのプロ意識とエネルギーが、このコンサートから伝わってくる。

前回公演『ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2016』より Photo:下坂敦俊