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2016.09.24 UP
林真理子さんが語る「キンキーブーツ」
N.Y.で実際に『キンキーブーツ』の舞台をご覧になった作家・林真理子さんからコメントが届きました!
★林真理子さんコメント★
ブロードウェイのローラを見た時、本当に驚いた。
筋骨隆々の大男である。この彼女(彼)が歌い踊る舞台の素晴らしかったこと。色気がたっぷりとあり何とも可愛らしい。そして毅然としていて、人生の真実をしっている素敵なキャラクターなのである。ローラの同僚、エンジェルスもものすごく大柄な男性たちであるが、このミュージカルのキイワードである高いヒールのブーツを履き、見事な踊りを見せる。
が、このミュージカルをドラァグクイーン(女装を楽しむ男性)たちの、特別な物語だと思ってはいけない。その迫力にだけ目を奪われないように、俳優たちは注意深く配役されているのだ。
女装した男など最低と思っているマッチョな男。生活にやや疲れている中年のおばさん。ちゃっかりしている田舎のおねえちゃん。工場に勤めるふつうの人たちが、最後はシンディ・ローパーの曲にのって歌って踊りまくる。人間を知ること、愛し合うことがどんなに大切かということ全身で教えてくれるのだ。
私たち観客は笑ころげ、手拍子しているうちにやがて涙ぐんでしまう。そして「人生っていいもんだよなぁ…」と確認するのである。
■PROFILE/林 真理子(はやし・まりこ)
作家。日本大学芸術学部文芸学科を卒業後、コピーライターを経て1982年にエッセイ集「ルンルンを買っておうちに帰ろう」を出版、ベストセラーとなる。
86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞を受賞。95年「白蓮れんれん」で第8回柴田錬三郎賞、98年「みんなの秘密」で第32回吉川英治文学賞を受賞。
2000年に直木賞選考委員に就任するほか、数々の文学賞の選考委員を務める。2011年、フランスのレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章。
現在、「毎日新聞」「週刊文春」「an・an」「本の旅人」などで多数の人気連載を持つ。