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2016.10.09 UP

『キンキーブーツ』<来日版>初日レポート!!

 

圧倒的に楽しい! カーテンコールではキャストと一緒に立ち上がって踊りたくなるほどの開放感にあふれる『キンキーブーツ』。ドラァグクイーンたちが登場する絢爛豪華なパフォーマンスなどダイナミックなナンバーの数々が観客の心をかきたてる。しかも、楽曲はすべてシンディ・ローパーの書き下ろし。カラフルな楽曲はシンディらしいポジティブなメッセージに溢れる。

 

来日版の見どころはドラァグクイーンのローラ役、J.ハリソン・ジーの圧巻のステージ。

真っ赤なドレスで出てきた瞬間から、すべての人々を受け入れる愛情あふれるローラを全身で表現する。見事なエビぞりを見せるほど柔軟な体躯を活かしたダイナミックなダンスに表現力ある歌声。実際にドラァグクイーンをしているJはまさに「生きたローラ」なのだ。そして、チャーリーを演じるのはブロードウェイの新星、アダム・カプラン。スイートなイケメンだが、ウィットに富んだコミカルな演技はなかなかのもの。チャーリーとローラが二人で協力して「キンキーブーツ」作りに励みながら、自分自身を見つけていく姿に、客席の私たちも勇気づけられる。

 

公演初日、奇跡が起きた。

 

ローラが自分自身を受け入れる決意を胸に、自分のすべてをぶつけて「Hold Me In Your Heart」を歌い終わると、客席から拍手が鳴りやまないのだ。本場ブロードウェイでもなかなか見られないショーストップは、誰もがローラに共感したからだろう。「自分を受け入れることですべてが変わる」という大切なメッセージが自然と心に響いてくる快作だ。

 

 演劇ライター 大原薫

 

 

 

 

 

 

撮影:田中亜紀