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2017.08.28 UP
音楽ジャーナリスト・高橋芳朗が語る"ディスコ"な天使にラブ・ソングを...
ミュージカル版「天使にラブ・ソングを…」は物語の時代設定が70年代後半。楽曲を担当したアラン・メンケンはこの作品で初めて”ディスコ・ミュージック”に挑戦しました。誰もが思わず踊りたくなるようなキャッチ―なサウンド。メンケンが創り出した魅力溢れる楽曲たちを、”ディスコ師匠”である音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんに解説していただきました。
洋楽・邦楽問わず、ディスコ・ミュージックに精通した高橋さんならではの目線でこのミュージカルとディスコのコレボレーションを分かり易く紐解いていただきました。尚、高橋さんには劇場で販売する公演パンフレットでも、より詳しい楽曲解説をしていただく予定です。是非、そちらもお楽しみに!
ディスコとゴスペルの融合がもたらす圧倒的な高揚感
大ヒットミュージカル、待望の再来日
全公演ソールドアウトを記録した初来日から2年。ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』が、いよいよ日本に帰ってくる。
ここ日本でも根強い人気を誇るウーピー・ゴールドバーグ主演の同名のコメディ映画をベースに、ウーピー自身のプロデュースのもと一部ストーリーに手を加えて生まれ変わったミュージカル版『天使にラブ・ソングを…』。その最大のポイントは、1978年という時代設定に応じて書き下ろされた「ディスコ」な劇伴だ。
作曲を担当しているのは、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』など、数々のディズニー映画の音楽を手掛けてきた巨匠アラン・メンケン。「オリジナルのディスコミュージックを使ったミュージカルなんて聞いたことがない。シスターたちがディスコミュージックに合わせて神を讃えるなんて、最高のコメディだろ?」とはメンケン。この意表を突く発想が、世代を超えて愛され続けている『天使にラブ・ソングを…』にまた新たな魅力を注ぎ込むことになった。
映画版『天使にラブ・ソングを…』の世界観を損なうことなく往年のディスコミュージックの要素を取り入れた、メンケンのバランス感覚に優れた仕事ぶりが素晴らしい。主人公デロリスが憧れる「ディスコの女王」ドナ・サマーを筆頭に、クール&ザ・ギャング、シック、エモーションズ、ビー・ジーズなど、おなじみのディスコヒットを連想させる楽曲が次々と繰り出されていく展開はただただ痛快。舞台がフィラデルフィアであることを踏まえた、随所でのフィリーソウルへのオマージュも心憎い。
折りしも、ここ数年のポップミュージック界は世界規模でディスコリバイバルが席巻中。2014年のグラミー賞で最優秀レコード賞を受賞したダフト・パンク「Get Lucky」に端を発するディスコ再評価の波は海を越えてJ-POPにまで及び、星野源「SUN」をはじめとする数々の新しいディスコナンバーの登場をうながした。
このミュージカル版『天使にラブ・ソングを…』におけるディスコサウンドの導入は、そんな時流に則したアプローチといえるだろう。ディスコとゴスペルのブレンドがもたらす圧倒的な高揚感を、ぜひライブで体感してほしい。
音楽ジャーナリスト 高橋芳朗
1969年生まれ。東京都港区出身。タワーレコードのフリーペーパー『bounce』~ヒップホップマガジン『blast』の編集を経て、2002年からフリーの音楽ジャーナリストに。エミネム、ジェイ・Z、カニエ・ウェスト、ビースティ・ボーイズらのオフィシャル取材の傍ら、マイケル・ジャクソンや星野源などライナーノーツも多数執筆。共著に『ブラスト公論 誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない』や 『R&B馬鹿リリック大行進~本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界~』など。2011年からは活動の場をラジオに広げ、『高橋芳朗 HAPPY SAD』『高橋芳朗 星影JUKEBOX』『ザ・トップ5』(すべてTBSラジオ)などでパーソナリティーを担当。現在はTBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』『都市型生活情報ラジオ 興味R』の選曲も手掛けている。Twitter @ysak0406