最も残酷で痛ましく、そして最もセクシーな「ロミオとジュリエット」
男性版「白鳥の湖」の熱狂から5年、マシュー・ボーンが日本に届ける”究極の愛”
禁じられた愛、抑圧された感情。
時代を超えて語り継がれてきた物語がよみがえる。
白鳥を男性ダンサーたちが演じた「白鳥の湖」など、古典を大胆な解釈で再構築してきた英国の鬼才マシュー・ボーンが2019年世に放ったのは、言わずとしれたシェイクスピア悲劇の名作「ロミオとジュリエット」。ストレートプレイはもちろん、ケネス・マクミラン振付によるクラシックバレエの名作、そしてミュージカルも人気を博した「ロミオとジュリエット」は“マシュー・ボーン・マジック”によって人々の期待を裏切らないスリリングでスタイリッシュな作品として大ヒットとなった。
クラシックバレエ版と同じくプロコフィエフの音楽を使いながら、もちろんただの「ロミオとジュリエット」ではない。舞台は14世紀のイタリアではなく、近未来。反抗的な若者たちの矯正施設“ヴェローナ・インスティテュート”で物語は繰り広げられる。対立するモンタギュー家とキャピュレット家という存在は無いが、理不尽な抑圧の中で若者たちが抱える生きづらさは共通のテーマだ。
原作ではジュリエットに密かに想いを寄せる従兄のティボルトは、ここではジュリエットを蹂躙する看守であり、二人の恋人たちを支援するローレンス神父は女性に変わっているものの頼れる存在のまま、そしてロミオの親友であるマキューシオはゲイとして描かれていたりと、マシュー・ボーンならではの“ずらし”を発見するのも楽しみの一つかもしれない。