Columnバックステージツアーコラム

第4回ヘルメットをかぶって、舞台の天井裏へ

 この先、もっとディープな場所を訪れるということで、全員ヘルメットをかぶり、10トンまで乗れる搬入用の大型エレベーターで11階へ。まず鏡張りのリハーサル室を覗きました。稽古はもちろん、衣裳が多い時は400着にもなるそうで、洗濯干し場になったり、出演者が多い時は食堂になったりするとか。参加者の皆さんは、キョロキョロしながら「シャワー室もある!」「洗濯機だ」と興味深そうです。
 12階に上がると、楽屋へ。楽屋は10部屋で109名が入れるとか。私たちが通されたのは一番広い部屋、大部屋でした。真ん中に大きな机があり、壁にはライトに囲まれた鏡がずらり。「ハリウッドライト、いわゆる女優ライトですね。スイッチをつけてみてください」との指示に実際つけてみると、確かに顔の隅々までくっきり見えるのに感動。「欲しい!」と声が上がりました。
 その後、奈落へ。舞台を見上げると、先ほど自分たちが立って覗き込んだ舞台の穴が見えます。ここでは楽しい仕掛けが!舞台の高さになっていたオーケストラピットが下がってきて、参加者全員が乗ることができるんです。「ツァラストラはかく語りき」の冒頭が流れると (音響さん、凝っています!)、舞台の高さまでスルスルと上がっていき、曲終わりでぴったり舞台に到着。セリで上がる俳優さん気分になりました。
 そして、舞台の天井裏へ。途中、グリーンルームがあり、ここは出演者が出番を待つ間に一息入れたり、お茶を飲んだりできるスペースとのこと。また神棚があり、怪我や事故がないように、神様を祀ってあります。役者さんによっては毎日、手を合わせる方もいらっしゃるようです。通路には過去の公演のポスターが壁一面に飾られていて、全てに出演者のサインが入っています。まさにお宝ゾーン、これを見られるのは贅沢ですね!
 さて、階段を登り、舞台の天井裏、「すのこ」と呼ばれる場所に到着。普段はスタッフしか立ち入れない危険な場所で、舞台から24メートルの高さです。多くのワイヤーが見えますが、このワイヤーが反対側のモーターに繋がっており、モーターが回転することで、バトンが上下する仕組みです。このバトンはコンピュータ制御により1ミリ単位で上げ下げできるそうで、1トンまで吊るせます。吊り上げた舞台セットの重量を正確に計れるのも特徴。「みなさん、バトンに吊られると体重がわかっちゃうのでお気をつけください!」とスタッフ(笑)。舞台が下の方、遠くに見えます。こんな高いところで作業する裏方さんもいるんだなぁと、しみじみ。

演劇ライター 三浦真紀